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愈々庵気まぐれ日記

愈々庵気まぐれ日記

ハンダの一滴

ハンダの一滴

ボストン滞在中の1965年夏、週末New Hampshire州の観光地 
Mt.Washigtonへ出かけた。ミニSLで山頂まで行けるので有名だが、
山頂まで車でも行けるのでドライブすることにした。

ガイドブックには休み休み行くようにと記してあったが、
車を休ませることとは知らず、人間はそんなに疲れていないので
一気に登っていたら、途中でエンジンルームから突然水蒸気が噴出した。
ラジエータが破裂したのである。 今度は休み休みラジエータなしで山を
下って修理工場で破裂した場所を修理(ハンダで孔を塞ぐ)し、
涼しい夜間帰宅した。夜間は涼しく問題なく帰宅できた。

翌週独立記念日の祝日にWashington DCに行ったが、
30分ぐらい走ると冷却水が無くなってしまう。風邪で熱があったが
バケツに水を汲んできてバンパーによじ登って給水した
(1954年型のFordは車体が大きくてこうしないと作業できない)。

修理工場に行くと冷却液を入れ替えてくれて、Good Luck!
と送り出される。でも症状は変わらない。
次の修理工場では高圧洗浄をしてシーリング材を加えてくれ、
どこも悪くない、Good Luck!と送り出された。でも症状は変わらない。
30分毎にバンパーによじ登って給水しなければ走れない。

予定の数分の一の旅程ももこなせず、途中で一夜修理工場に預けて
一泊することに。
翌日行くと「直ったよ、修理代は要らないから検査代だけ置いてって」

ポカンとしていると、「先週修理しただろう、その時ラジエータの
キャップが当たるところにハンダ液が落ちて凸になり、
キャップをしてもスカスカの状態になって、冷却液がすぐ蒸発するのさ。
修理といってもナイフで小さなハンダの塊を削っただけだ」
「I do not say Good Luck this time, but drive carefully」

今は考えられないが、当時夏の車のトラブルの多くはラジエータであり、
必ず補充用の水はトランクに用意していた。
冷却液を夏と冬で入れ替えるのも必須であった。

一滴のハンダ液のしずくが日中は35度もある暑い真夏の
2週にわたる週末を台無しにしてしまった。


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